
日本人の働き方は、生産性が低いというけど、他の国ではどんな働き方をしているの?
今回は、こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- 日本企業の「時代遅れ」な働き方
- 自分の働き方を変えるには
「日本企業は生産性が低い」ということは、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
私は外資系企業で働いていましたが、付き合いのあった日本企業のやり取りを見ていて、日本人ながら「そのやり方、非効率では?」と感じることも…。
この記事では、外資系企業の働き方と比較して、「時代遅れでは?」と感じた日本企業の働き方を紹介します。
今の働き方に疑問を感じたら、海外の働き方も参考に、働き方を少しずつ変えてみてください。
海外から見ると「時代遅れ」に感じる、日本人の働き方14選


さっそくですが、『ここがヘンだよ日本人の働き方』を紹介します。
1.出社至上主義
「生産性が上がるとしても、ビジネスと言えばやっぱり出社が基本でしょ!」
コロナ禍を経験しても、「出社至上主義」的な働き方をする企業が、いまだ多く存在しています。
コロナの影響で大企業を中心にテレワークが普及し、「働き方が変わるのでは!?」と、期待した人も多いのでは?
でも、緊急事態宣言が解除されたら、徐々に出社する人が増加。今や電車の混雑ぶりはコロナ以前と変わらない状況に…。
『在宅勤務で生産性は落ちるのか?』を調査した「組織DX.com」によると、約73%の人が「在宅勤務でも生産性は落ちなかった」と回答しています。



生産性が落ちないなら、別に一律出社しなくてもいいのでは?
ちなみに生産性が高くて有名なドイツでは、以前は日本と同じく「出社至上主義」な国だったそうですが、コロナの影響で在宅勤務をするように。
ドイツでも同じ質問をしたところ、 88%の人が「在宅勤務でも、生産性は変わらない、または高い」と回答。
(参考:『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか』熊谷徹著、SB新書)
しかし、生産性を重視するドイツ社会の動きは、日本とは異なりました。
ドイツ企業は、「出社至上主義」から一気に「リモート社会」に移行。
日本でも、多くの人は『在宅勤務でも生産性は落ちなかった』と回答したのに、日本はいまだ「出社至上主義」。
ちなみにドイツは、日本より労働時間が短いのに平均年収は200万円高いです。
2.結果よりも「調和」が大事
日本企業では、結果よりも「調和」が重視されます。
自分の仕事が終わったので帰りたくても、自分だけ早く帰るのは何となく気まずい…。
そんな思いをしたことがある人は多いのではないでしょうか。
でも、外資系企業ではそういう気兼ねは不要です。
外資系企業では個人の業務が明確に規定されています。他人が忙しくしていても、基本的には手伝いません。
他人が忙しいのは、その人の問題。
あなたの仕事ではありません。
でも日本企業では、個人の業務が明確でないので、他の人が忙しそうにしていたら、何となく「手伝わないといけない」気分になります。
その結果、みんなでダラダラ残っているという状況に。そして、生産性はいつまで経っても上がらず…。
3.「残業」は高評価
これは、社会人を経験したことがある人なら、説明しなくても分かってもらえると思います。
「残業」は『頑張っている証拠』と思われていませんか?
海外では真逆の考え方です。
外資系企業では、「残業」する人は「与えられた時間内に仕事が終わらなかった人」と見られます。
そのため、私は外資系企業に勤めていたころ、極力定時で帰っていました。



仕事は「やる気」ではなく「結果」で評価されるべきでは?
4.サービス過剰
日本は「おもてなしの国」とポジティブに言っている人もいますが、見方を変えると「サービス過剰」とも言えます。
海外旅行に行くと、本当にあっさりしたサービスしかなく、電車も時間通りに来ないなど、サービスの違いを感じることが多いですよね。
でも、それでも十分その国は回っています。



日本人はサービスしすぎだから、生産性が低いのでは?
5.会議で何も決まらない上に、参加者がムダに多い
「今日も朝から晩まで会議、会議…」と忙しくしている人は、多いですよね。
でもそんなに会議をやっている割に、全然「決まらない」のが日本の会議。
あなたの会社の会議は、こんな状況に陥っていませんか?
- 会議のための会議資料作成に、やたら時間がかかる
- 会議の目的がよく分からない(とりあえず、定例で開いている)
- 何のために呼ばれたか分からない人が、ワンサカいる
会社名は言いませんが、上記は私が勤めていた日本の某大手IT企業の例です。
6.有休を消化しない
日本人は有休消化の取得率が低いですよね。
去年の有給休暇の平均取得率が56.6%だったことが厚生労働省の調査で明らかになりました。
テレビ朝日「2021/11/09 有給休暇の取得率56.6%で過去最高に 厚労省調査」の記事より
調査開始以来、過去最高の取得率でした。
ヨーロッパでは、100%有給休暇を取得します。
長期休暇を取るために、日頃からバックアップ体制をしっかり作っておきます。
「自分がいないと仕事が回らない」という状況にならないように、外資系企業ではバックアップ体制を整えるのはごく普通のことです。
日本の企業では、バックアップ体制が十分でない部署が多くないですか?
バックアップ体制が整っていないから休めないという悪循環に陥っているように感じます。
7.「なるはや」を代表とする、暗黙ルールで動く
日本人は「暗黙の了解」を好みます。
アメリカのようにマニュアルで仕事を進めるより、細かい指示を出さずに「よろしく」だけで進めようとします。
めちゃくちゃアバウトです。
そんな社会なので、納期も次の一言で決まります。
「なるはやで。」
海外では、こんな意味不明な指示はありえません。
「何月何日の何時なのか言ってくれなければ、対応しない」と言われるのがオチです。
8.「ホウレンソウ」はビジネスの基本だと思っている
日本では「報告・連絡・相談」は、ビジネスの基本だと信じて疑わない人は多いと思います。
でも、外資系企業では何でもかんでも報告するのは「スキルが低い」とみられる可能性があります。
スキルがあって採用しているわけですから、別にいちいち説明してくれなくても結果さえ出ていればOK。
上司が部下に細かく報告を求めるのは、部下を信用していない証。
良い上司とは評価されません。
また、忙しい上司にいちいち報告する部下も「未熟」と評価されます。
「ホウレンソウ」の求めすぎは、部下の成長を阻害します。
9.資料のクオリティがムダに高い
状況が分かれば十分なのに、無駄にハイクオリティな資料を作ってしまうのも日本人。「サービス過剰」なんですよね。
しかもそれが社内資料だったりすると、ホント哀しくなります。「社内で使うだけなのに、そのハイクオリティ無駄では…!?」と思わざるを得ません。
諸悪の根源はムダにハイクオリティな資料を作らせる上司にあるように感じます。
10.意思決定がめちゃくちゃ遅い
日本企業とやり取りしていてつくづく感じたのは、「意思決定が遅すぎ」ということ。
同じ仕事を発注しているのに、海外企業と比べると日本企業は承認に時間がかかりすぎ。
要因の一つは「ハンコ文化」にもあるかもしれません。日本企業とやり取りをしていたとき、驚きの「ハンコの数」に、日本人ながらビックリしたことがあります。
何はともあれ、日本企業の意思決定スピードは海外と比べると非常に遅いです。



そんなにたくさんのハンコ、必要?
11.何でもかんでも「上司に相談」
意思決定スピードが遅いのは、何でもかんでも「上司に確認」するのも原因です。
「それだけのキャリアがあれば、あなたが決められるのでは?」と思うようなことまで、何でもかんでも「上司に相談」。
「責任を取りたくない」というのもあるでしょうが、会社からも「とりあえず上司に相談するように」と言われているからでしょう。
外資系企業の場合は、一人一人の役割と責任範囲は「Job Description」に明記されているので、自分で判断できるものは、自分の権限でサッサと処理します。
12.会社の研修制度が充実しているけど…
外資系企業には、日本企業ほど研修制度がありません。
「スキルが足りないな」と思ったら、自分自身でスキルアップしていくしかありません。
日本企業の研修制度が充実している背景には、「終身雇用」制度との関係があります。
日本企業は長年「終身雇用」制度があったので、一人の社員を会社が育てていくという考え方があったので、今もその文化が残り、教育制度が充実しています。
しかし、外資系企業には「終身雇用」制度はありません。
「会社が一人の社員を育てる」という考え方はなく、「スキルのある人材をその都度採用すればよい」という考え方です。
13.今や日本の若者も理解できない「年功序列」制度
海外の人はおろか、いまや日本の若者も理解できないのが「年功序列」という仕組み。
「年齢が上がるほど、給料も上がる」という仕組みは、外資系企業にはありません。
年功序列ではないので、今の会社で給料アップが見込めないと判断したら、少しでも年収が高い会社を求めて転職していきます。
給料は、個人のパフォーマンスや結果で決まります。
14.女性の社会進出が遅れすぎ
海外と比べると、日本は女性の社会進出が遅れすぎです。
海外企業でも、業界によってはまだまだ男性社会のところもありますが、日本のジェンダーギャップ指数の順位は世界120位。
日本は、圧倒的に女性の社会進出が遅れています。




今の働き方に不満がある場合の対処法


日本企業の働き方には、おかしな点がいくつもあります。
ただ、そう簡単に改善されるとは思えません。
不満があれば、できるところから環境を変えてみましょう。
できる範囲で、働く意識、働き方を変えてみる
今の働き方に疑問を感じたなら、まずはできる範囲で「働く意識」「働き方」を変えてみてください。
意識を変えるのに、海外の働き方は非常に参考になります。
生産性が高い国として有名なドイツの働き方は、とても参考になります。
私も下記の本を読みましたが、私が働いていた外資系企業でも、同じような働き方をしていました。


他の会社に転職してみる
「今の会社で働き方を変えるのは、ムリ」と思ったら、他の会社に転職してみるのも一つの方法です。
企業文化は実際に入ってみないと分からないものの、転職口コミサイトを見ると、働いている社員のリアルが多数書き込まれているので、そういう意見を参考にしてみるといいかと思います。
代表的な口コミサイトとしては、「Openwork」や「転職会議」がありますので、ぜひ利用してみてください。
外資系企業で働く
思い切って働き方を変えるなら、外資系企業に転職するのも一つの方法です。
外資系には英語力不問の求人もありますので、英語が苦手な方でもまずは求人を調べてみるといいかと思います。
とはいえ「やはり英語力を身につけてから…」という方は、英語の勉強をするしかないですが、5年も10年も勉強する必要はなく、1~2年やるだけでもグッと英語力がアップします。
日本企業は、たぶん変わらない
この記事では、「日本企業の働き方はおかしい?」と疑問を持っている方に向けて、外資系企業と比較して『日本企業の働き方』を紹介しました。
「日本の働き方はおかしい」と思っても、そう簡単には日本企業の働き方は変わらないと思います。
一説によれば、
ヒトの意識や価値観が固定してできた法律や制度は20~30年かからなければ変わらないし、変えるのも難しい。ヒトの無意識の価値観は100年経っても変わらない。
『進化する日本の経営』(岡本大輔ほか、千倉書房)より
と言われています。
あなたのサラリーマン人生は長くても40年。
あなたの『サラリーマン人生』が終わるころになっても、日本企業の働き方は変わっていないかもしれません。
今この瞬間、あなたと同じ仕事を、あなたより効率的に終わらせて、残業もせずにプライベートを充実させている人もいるかもしれません。
自分の限られた人生、有意義に使っていきましょう。