
今の職場に不満があるけれど、何となく辞められない…。
誰しも転職に失敗したくはないですよね。
でも、あなたの知り合いで「転職したのにそんなに幸せそうじゃない」人はいませんか?
あるいは、あなた自身とか…。
この記事では、日本人が転職に失敗する理由を紹介します。
海外の人と比較すると、日本人の転職には日本人特有の「失敗する理由」があります。



転職を考えるなら、この日本人特有の「失敗」を避けましょう。
▼今回参考にした本


日本人は「不満」を理由に転職する


「なぜ私たちは転職を考えるのか。」
まずは、日本人が『転職する理由』を紹介しましょう。
転職に求めるものは「不満の解消」
多くの日本人が「転職したい!」と思うのは、「新たなことにチャレンジしたいから」ではなく、今の会社に対する不満です。
下記のグラフは、日本人の転職理由です。
日本では、転職する人の約8割は「今の会社に対する不満」が理由で転職しています。
▼日本人の転職理由


日本人は、やっぱり終身雇用が好き



不満があって転職する人が多いのは分かったよ。ただ、精神的に追い詰められてまで働き続ける人もいるのはなぜ?
日本には「過労死」という言葉があります。
これは世界でも「Karoshi」という言葉で通用するほど、日本独特のものだと言われています。


なぜ日本人は仕事がイヤでも続けてしまうのでしょうか。
その理由の一つとして挙げられるのが、日本人は「一生一つの職場で働き続けるべきである」と考える人が多いという点です。
下記のデータは、五か国の若年層(18歳~24歳)にアンケート調査した結果です。
(内閣府「第8回世界青年意識調査」2008年)
上記のデータは少し古いですし、若年層に限った結果ではありますが、日本社会では「転職」に対してネガティブなイメージがあるように感じます。
「転職するなんて、何かトラブルでもあったの?」と思われたり、
何度も転職を繰り返す人を「わけあり人材」とみなす風潮があったり…。
そのせいか、日本人は強い不満がないと転職しない傾向にあります。



日本人は、我慢しすぎ。
海外では、転職をしないで同じところに留まっていると「能力やスキルが錆びつく」と考える人が多いです。



なぜ日本人は、こんなに我慢するんだろう…。
「不満」は多かれ少なかれ、どこでもある
では、日本人の「会社に対する不満」とは、具体的にはどういったものなのでしょうか。
以下、「転職につながりやすい不満」トップ10を紹介しましょう。
▼「転職につながりやすい不満」トップ10
第1位 | 直属の上司からのハラスメントがある |
第2位 | メンバー間でハラスメントがある |
第3位 | 直属の上司の態度が高圧的だ |
第4位 | サービス残業が多い |
第5位 | 組織全体の雰囲気が悪い |
第6位 | やりたい仕事やアイデアがあるが、実現できない |
第7位 | 直属の上司が信頼できない |
第8位 | 労働時間が長い |
第9位 | 他のメンバーの考え方についていけない |
第10位 | 直属の上司の指示や考えに納得できない |



「上司の不満」、多いわぁ…。
これらを見ると、「私も同じだよ」と感じる人はたくさんいるのではないでしょうか。
これらの「転職したくなる不満」があるとき、私たちはただ我慢するのではなく、「状況を変えよう」とアクションを起こそうと考えます。
- 同僚と話す
- 上司に相談する
- 人事部に相談する
など。
ただ、残念ながら、行動をおこしても状況が改善される割合はたった4%です。
対処後に不満は解消されたか?





行動を起こしても、改善されないの!?
結局、不満が解消されないので、残された選択肢としては、
- 「転職する」
- 「あきらめて耐える」
のどちらかを選ぶことになります。
厄介なのは「状況が変わる」と期待してしまうこと
上記の理由を見ると、「上司に不満」があって転職したいと思う人は多いですね。
厄介なのは、「上司はいつか異動でいなくなるかも」と期待してしまうことです。
「今は辛くても、いつか上司が異動すれば、私の悩みは解決する!」と、その日を信じてひたすら耐えている人、いませんか。
でも、一体いつ上司が異動してくれるかなんて、まったく分かりません。
もしかしたら、ずっと異動しないかもしれません。
でも、日本企業では組織再編や異動が頻繁に起こるので、どうしても期待してしまうのです。
「不満」は転職で解消されない
ただ、そもそも不満というのは、どんな職場に行っても多かれ少なかれ発生します。
転職したらいい上司・同僚に恵まれるかどうかなんて、ハッキリ言って「運」と「相性」です。
転職しても、また同じ不満に悩む可能性も十分にありえますよね。
そう思うと無力感を感じますが、何かもっといい考え方はないものでしょうか…。
次のセクションでは、前向きな解決策を考えていきたいと思います。
海外での転職理由は「キャリアアップ」


ここからは、海外に目を向けて考えてみます。
欧米では「職場がイヤならやめればいい」と考える人が多い
海外の人は「仕事で Karoshi するなんて信じられない」と思っていると聞きますが、データを見ても分かります。
先ほどと同様、5か国の若年層に調査した結果によると、欧米では半数の人が「職場に不満があれば、転職する方がいい」と回答しています。
(内閣府「第8回世界青年意識調査」2008年)



日本や韓国では、仕事がイヤでも我慢する傾向があるということですね。
韓国では「才能を活かすために積極的に転職する」ことに肯定的
ただ、日本と韓国の違いは、韓国では「才能を活かすためなら、転職した方がいい」と考える人の割合が多いことです。
(内閣府「第8回世界青年意識調査」2008年)



韓国の若者は、「自分の才能を活かして働きたい」と考えている人が多い傾向がありますね。
日本以外のアジアでは「キャリアアップ」のために転職する
もう一つデータを紹介しましょう。
下記は、パーソル総合研究所が実施した「APAC14ヶ国の就業実態・成長意識調査」の結果です。
海外では、転職の理由として「幅広い知識・経験を積みたいから」という回答が上位3位に入っている国が圧倒的に多いのですが、日本では10位以内にすら入っていません。
日本人の転職理由は、以下のとおり。
▼1つ前の勤務先から今の勤務先に転職した理由(日本人の回答結果)
第1位 | 給料に不満がある |
第2位 | 人間関係が上手くいかない |
第3位 | 会社の将来性が不安 |
第4位 | 肉体的につらい |
第5位 | 会社の評価方法に不満がある |
第6位 | 評価されても給料があがらない |
第7位 | 尊敬できる人がいない |
第8位 | 風通しが悪い(意見が言いにくい) |
第9位 | 社員を育てる環境がない |
第10位 | 残業が多い/休日が少ない |



すべて「後ろ向き」な回答…。
他の国はどのような回答をしているのか、例として中国を紹介しましょう。
中国人の転職理由は次のとおりでした。
▼1つ前の勤務先から今の勤務先に転職した理由(中国人の回答結果)
第1位 | 給料に不満がある |
第2位 | 昇進が見込めない |
第3位 | 幅広い経験・知識を積みたい |
第4位 | 専門知識・技術力を習得したい |
第5位 | 評価されても給料があがらない |
第6位 | 会社の将来性が不安 |
第7位 | 業界の先行きが不安 |
第8位 | 和気あいあいとした雰囲気の会社で働きたい |
第9位 | 残業が多い/休日が少ない |
第10位 | 社員を育てる環境がない |
他のAPAC各国と日本を比べたとき、一つの特徴に気付きます。
それは「何かを学びたい・習得したいから」という転職理由が、日本人の回答には見られないことです。
転職理由に「幅広い経験・知識を積みたい」と回答したほかの国の結果は、次のとおり。
▼「幅広い知識・経験を積みたい」の回答順位(APAC14ヶ国)
中国 | 第3位 |
韓国 | 第3位 |
台湾 | 第3位 |
香港 | 第3位 |
タイ | 第2位 |
フィリピン | 第2位 |
インドネシア | 第1位 |
マレーシア | 第1位 |
シンガポール | 第3位 |
ベトナム | 第1位 |
インド | 第1位 |
オーストラリア | 第8位 |
ニュージーランド | 第8位 |
日本 | 圏外 |
就業実態・成長意識調査(2019年)」



他の国では「キャリアアップ」を目指して転職する人が多いということだね…。
正直言って、この差がどこから来るのか私には分かりません。
あなたはどう思いますか?
転職に成功するカギは「キャリアアップ」の視点


以上、「日本人の転職理由」と「海外の転職理由」を紹介しました。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ中原淳『転職学』(KADOKAWA)を手に取ってみてください。


最後に『転職に失敗しないポイント』を述べたいと思います。
精神的に追い込まれるまで我慢する必要はない
一つ目は、精神的に追い込まれるまで我慢する必要はないということです。
日本社会には「一生一つの職場で働き続けるべきである」という価値観が、今もあるように感じます。
でも一歩外に出てみれば、むしろ「一生一つの職場で働くと、能力やスキルが錆びる」という価値観を持つ国の方が多いのです。
たまたま日本に生まれたから、そういう価値観にとらわれて自分を追い込んでしまっているかもしれません。
いったん「日本的」な考え方を捨てて、「そこまで働く必要、本当にあるかな?」と立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
「不満」を理由に転職すると失敗する
もし「不満」を理由に転職しようとしていたら、それも一旦立ち止まって考えてみてください。
今回紹介したように、「不満」を理由に転職しても失敗する可能性が高いからです。
もちろん、精神的に追い込まれるまで働いて「これ以上いられない」と感じているときは、すぐに辞めた方がいいです。
ただ、「不満」を理由に転職するのではなく、何か新しいことにチャレンジできる仕事を探してみる方が、次の会社に入社後、前向きに働けるのではないかと思います。
私自身「不満」を理由に退職したことがあり、転職に失敗したことがあるので、つくづくそう思います。


「新しいこと」を学んでみては?
新しいことにチャレンジするのは勇気がいりますが、新しいことにチャレンジする方が仕事は絶対に面白いです。
一旦「不満」は忘れて、もしチャレンジするとしたらどんな仕事をやってみたいかイメージしてみてはいかがでしょうか。
人それぞれ、いろんなチャレンジができると思いますが、たとえば「海外関連の仕事をやる」というのも一つのチャレンジになるかもしれません。
英語を身につけて、グローバル展開している会社で大きなプロジェクトを担当してみるとか。
英語ができればあらゆる業界で使えますから、やっておいて損はないかなと思います。
私も働いていた時は、ビジネス英語を身につけるために Bizmates


英語でなくても、財務やマネジメント、プログラミングやデザインなど、気になるものがあればぜひ挑戦してみてくださいね!
きっと前向きな転職につながるはずです。
おわりに
この記事では、日本人が転職に失敗する理由を紹介しました。
日本人は「不満」ベースで転職しますが、「不満」は転職しても解消されない可能性があります。
もし転職するなら、「新しいことにチャレンジ」「キャリアアップ」の視点を持って仕事探しをする方が、転職後も前向きな気持ちで働けるかもしれません。
何か気になるスキルがあったら、ぜひチャレンジしてみてください。
今回紹介した『転職学』は、本の要約サービス『Flier(フライヤー)』でも読めます。
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