
仕事が早く終わったので早く帰りたいんですが、同僚よりも先に帰るのは何となく後ろめたいです。仕事なんて、そんなもんですか?
この記事では、こんな疑問に答えます。
私の結論はズバリ、「あなたは何も悪くない。仕事が終わったら定時でさっさと帰ろう」です。
ただそうは言っても、日本には「帰りたくても帰れない雰囲気がある」のも分かります…。
- 周りが忙しそうにしているのに先に帰ると、空気読めない感が出てしまうのでは?
- 残業しないで定時に帰ると、やる気がないと思われるのでは?
そんなことが頭をよぎり、仕事は終わっているのに何となくダラダラと過ごす…。
ただ、世界に目を向けてみると、仕事が終わってダラダラと過ごしている国はありません。
この記事では、外資系の働き方と比べて感じる『定時に帰れない日本企業の特徴』を解説したいと思います。
仕事が終わったなら、帰りましょう!
定時に帰ることに、異常なほど引け目を感じる理由


日本人は、仕事が終わっていても定時で帰ることに対し、異常なほど引け目を感じています。
その理由は、次の2つ。
- 「空気読めない人」と思われそうだから
- 残業は「やる気の証」だと思われているから
特に新入社員や「若手」と呼ばれる人は、その傾向が強いように思います。
(仕事が終わっているから、帰りたいんだけどな…)
そんなことを思いながら、先輩社員が帰るまで意味もなく残っていたりします。
先輩社員はおそらく本当に仕事が忙しいんだと思いますが、それは先輩の仕事。
あなたの仕事ではありませんから、あなたが残る必要はないんですよね。
「空気」を読むと、生産性が下がる
なんとなく空気を読んで、仕事もないのに残ってしまうのが日本人。
でも、そうやって仕事もないのにダラダラと残ることを日本全体でやっているせいか、日本の生産性は低いまま。
日本の生産性は、
- 主要先進7カ国(G7)では最下位
- OECD加盟国中23位 (2021)
と、圧倒的な低さです。
しかも日本の労働生産性は、OECD の順位でいうとデータが取得可能な 1970 年以降、最も低い順位です。
参考:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2021」
(https://www.jpc-net.jp/research/detail/005625.html)
残業は「やる気の証」
日本企業にはびこるもう一つの特徴は、「残業=やる気の証」というカルチャーです。
よくテレビドラマでも、こういうシーンを見かけますよね。


このように働いていると、周りから「●●さんは、いつも仕事を頑張ってる」とポジティブに評価されることはありませんか?
そういう雰囲気があるので、仕事を頑張っていることをアピールするために何となく残っている人もいるのではないでしょうか。
外資系企業では、残業しない


私は日本企業と外資系企業の両方で働いた経験があるので、日本企業には「定時に帰りにくい雰囲気がある」も分かります。
でも、外資系企業では「残業」に対する意識がまったく違いました。
生産性と効率を重視する
私は外資系企業で、生産性をメチャクチャ問われました。
そのために、無駄な残業はできるだけ排除する必要がありました。
残業時間が多い人がいたときは、なぜそんなに残業時間が多いのか本人に聞いていました。
すると、
- 非効率な作業をせざるを得なくて困っている
- 余計な仕事が発生している
- 待ち時間が多く発生している
などなど、私が気づいていなかった問題点がポロポロと…。
そんなときはチーム全体で改善策を考えるようにしていました。
そうすることで、チーム全体で「余計な残業は減らし、生産性を上げよう」という雰囲気が出来上がっていったように思います。
プライベートを犠牲にするほど、仕事しない
日本には「滅私奉公」という言葉もありますが、海外の人はそもそも「仕事は仕事」と割り切り、プライベートを大事にしているように感じます。
『過労死』が日本独特な社会現象であるように、海外では過労死する人はいません。仕事が合わないなら、転職すればいいだけ。
会社なんて山ほどありますし、プライベートを犠牲にしてまで働く義理も感じていません。
残業させるときは、合理的な理由が必要
上司が部下に残業を頼むときは、明確な理由が必要です。
見積もりが甘かったのか、作業中に人員が想定外の休暇(病欠など)を取ったのか、何かしら原因があります。
それをハッキリさせないと、部下も納得して引き受けてくれません。上司の依頼を部下が断るなんて、日本じゃ考えられないかもしれませんね…。
部下から「なぜ残業をする必要があるんですか?」と聞かれたり、逆に「●●したら、残業しないで終わらせることができるのでは?」と提案されることも。
役割分担が明確で、自分の仕事が終われば帰る
自分の仕事がきっちり決まっているので、自分の仕事が終われば帰ります。
いわゆる「ジョブ型」と言われるスタイルです。
他人の仕事を手伝うのは、以下の理由でNGとされています。
- 契約違反(契約で定められた担当業務以外の仕事をやっていることになるので)
- 他人の仕事を奪っていることになる
定時に帰れない日本企業の特徴8つ


日本企業と外資系企業で働いてみると、定時に帰れない日本企業にはいくつかの特徴がありました。
残業が当たり前の雰囲気
有能で仕事が速い人は、仕事が終わったから早く帰りたいのに、職場の雰囲気がそうはさせてくれません。
残業させようと、さらに仕事を増やそうとします。
「有能な人が会社を辞める」と嘆いている職場では、こういうことが起きていませんか?
出社時間に厳しく、退社時間に甘い
日本企業の「あるある」ですが、日本は出社時間には厳しいですが、退社時間は「ズブズブ」です。
外資系は割と柔軟性があり、(8時から10時までに出社すればよいといったように)出社時間はフレックスであるところが多いです。
その人の生活にあわせて、出社時間と退社時間を変えられます。
「チームの一体感」を求める
日本企業だと、仕事が終わっていない人がいると「同じチームだから」と手伝わないといけない雰囲気があります。
逆に外資の場合は、他人の終わっていない仕事を、自分が残業してまで手伝うことは少ない雰囲気があります。「空気読めない人」とも思われません。業務時間外は、プライベートを優先させるのが普通なので…。
そもそも仕事が遅い人を手伝ったところで、自分のスキルアップにもならないし、自分の評価が大きく上がるわけでもないので、積極的に手伝う雰囲気はありません。
仕事が終わって飲みに行くまでが、仕事
日本企業で働いていると、よくあるのが「仕事終わりの飲み会」。
コロナの影響で以前と比べたら減りましたが、少なくなったからこそ、飲み会は貴重な親睦の場。
でも海外では、仕事が終わってまで会社の人と時間を過ごすのは少ないです。会社の人とは業務時間内だけの付き合いで、仕事が終わったら、プライベートの人(家族や友人など)と時間を過ごすのが一般的です。
デジタル化されていない
ハンコやFAXがいまだに使われているのが、日本。
ハンコやFAXを廃止している企業もあるわけなので、廃止できないこともないハズですが、やろうとしません。
海外と比べてデジタル化に後れをとっていて、日本は「世界デジタル競争力ランキング2022」で過去最低の29位です。
▼世界デジタル競争力ランキング2022
- 韓国(8位)
- 台湾(11位)
- 中国(17位)
- 日本(29位)
過保護に部下を教育する
日本企業は「社員を会社で教育する」という新卒一括採用システムをとっているため、スキルがない新人に対して、手厚く指導します。
そのため、仕事が終わっていない新人に対しても指導側の責任を感じ、一緒に残ってくれることも。
外資系では「社員を会社で教育する」という考え方がないので、スキルがない人は採用しません。仕事が終わっていないのは本人の問題であり、上司の問題ではありませんから、部下が残っていても上司は帰ります。
教育しないとダメなのに放置しすぎ
「社員を会社で教育する」という新卒一括採用システムをとっているため、教える必要があるのに、教えもしないで放置しっぱなしのケースもあります。
マニュアルが整備されていて、それを読めばある程度一人でできるようになっているならいいのですが、そんな職場はほとんどありません。
いつまでたっても新人は仕事を学ぶことができず、せっかく採用したのに数年で辞めてしまいます。
作業効率の悪いやり方を続ける
「日本は生産性が低い」とよく言われますが、生産性を意識しないで働いているので、作業効率が悪くてもやり方を変えません。
外資系の場合、生産性を重視するため、作業効率を上げる努力を日々行っています。ドイツ人の働き方を見てみると、ムダがないな、とつくづく感じます。
残業文化を続けても、未来はない


日本の残業文化は、デメリットばかりです。
デメリットをあげるときりがないですが、思いつくだけでもこれだけのデメリットがあります。
- 生産性が上がらず、国際競争力がますます落ちる
- 男性の労働時間が長すぎて、育児参加ができない
- 女性が育児をやらざるをえず、女性の社会進出が進まない
- 介護が必要な家族がいる場合、長時間労働の職場だと離職せざるを得ない
- プライベートの時間がとれず、幸福度が下がる
- プライベートの時間が取れず、スキルアップできない
- 燃え尽き症候群のリスクが高まる
「何となく帰りづらい」という理由だけで残っているのだとしたら、それほど無駄な時間はありません。
あなたにとっても、社会にとっても、何の役にも立っていない時間です…。
おわりに:定時に帰っても、100%悪くありません
以上、外資系企業での働き方と、定時で帰れない日本企業の特徴を紹介しました。
「何となく帰りづらい」と日々悩んでいたら、空気は読まずに帰るようにしましょう。帰りづらい空気を断ち切って、プライベートの時間を大事にしてください。
プライベートの時間をスキルアップに使い、いつでも転職できる状態にしておけば、職場の人から何を言われようと強気で過ごせるはず。
残業するのは日本では当たり前かもしれませんが、海外では当たり前ではありません。
残業しすぎて体調を崩さないよう、くれぐれも気をつけてくださいね。