「今の年収で、やっていけるだろうか。」
誰もが気になるところですよね。結婚し、子供ができると、必要になるお金も増えてきます。
特に気になるのが子供の教育費。いい教育を受けさせたいと思う反面、受けさせるほど教育費は増大…。
家計を維持するには、教育費以外にも家賃や生活費などがかかりますから、教育費が増えすぎないように家計を常にチェックしておくことが重要です。
この記事では、
- 子供が成長するにつれて教育費がいくらかかるか
- 必要な年収
をシミュレーションしてみました。
分析して痛感したのが、「大学進学時が一番大変」ということ。
子供を大学まで行かせたいなら、日々の生活の節約も大事ですが、年収を上げることも検討してみてください。
子供の教育費はいくらかかる?

まずは、子供の教育費がどのくらいかかるのか確認しておきましょう。
フコク生命の記事(「教育費は平均いくら? 幼稚園から大学までに準備するべき総額とは」)によると、子供が幼稚園から大学に進学するまでにかかる教育費は次のとおり。
▼子供の教育費
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 45万円 | 95万円 |
小学校 | 193万円 | 959万円 |
中学校 | 146万円 | 422万円 |
高校 | 137万円 | 290万円 |
大学 | 477万円 | 651万円 |
合計 | 約998万円 | 約2,417万円 |
これを1年単位で割ってみると、1年でかかる教育費はこのようになります。
▼(1年あたりの)子供の教育費
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 15万円 | 32万円 |
小学校 | 32万円 | 159万円 |
中学校 | 48万円 | 140万円 |
高校 | 45万円 | 97万円 |
大学 | 119万円 | 163万円 |
グラフにすると、こんな感じになります。
私立の小学校は非常に学費が高いですね。大学に関しては、国公立でも年間120万円近くかかり、かなりの負担です。

世帯年収に占める教育費の割合は約15%

世帯年収に応じて教育費の占める割合は異なりますが、平均すると約15%と言われています。(参考:公益財団法人生命保険文化センター「教育費が家計に与える影響は?」)
もし教育費が家計の15%占めるとなると、必要になる年収はどのくらいになるでしょうか。
公立・私立に行くのに必要な年収は?
下記のグラフは、教育費が家計の15%を占めると仮定した場合の必要な年収額です。

このグラフから分かることは、次のとおり。
- 大学に行かせるには、公立・私立関係なく年収800万円は必要
- 小学校を私立に通わせたいなら、年収1,000万円必要
子供が大学進学の年齢に達すると、学費の負担が急激に高まることが分かります。
子供が大学卒業するのは、親の年齢が53歳のとき

現在、第1子出生時の母親の平均年齢は30.9歳です。
母親が31歳で最初の子供を産んだとして、子供が現役で大学卒業したとしたら、そのときの親の年齢は53歳です。
子供の卒業時の、親の年齢(31歳で子供を産んだ場合)
- 小学校卒業時:43歳
- 中学校卒業時:46歳
- 高校卒業時:49歳
- 大学卒業時:53歳
親の年齢(あなたの年齢)と子供の年齢を考えて、学費を貯めていく必要があります。
日本人の平均年収ってどのくらい?【年齢別に紹介】

次に日本人の平均年収を見てみましょう。
日本人の平均年収を見ると、見事なまでに年功序列であることが分かります。
60歳に向かって一直線に少しずつ上がっていき、50歳後半でグッとあがります。
(参考:Doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)」)
▼日本人の平均年収(年齢別)グラフ

▼日本人の平均年収(年齢別)
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20 | 271万円 |
21 | 272万円 |
22 | 276万円 |
23 | 291万円 |
24 | 319万円 |
25 | 341万円 |
26 | 360万円 |
27 | 376万円 |
28 | 388万円 |
29 | 398万円 |
30 | 407万円 |
31 | 416万円 |
32 | 425万円 |
33 | 433万円 |
34 | 441万円 |
35 | 450万円 |
36 | 463万円 |
37 | 465万円 |
38 | 471万円 |
39 | 474万円 |
40 | 485万円 |
41 | 493万円 |
42 | 491万円 |
43 | 496万円 |
44 | 500万円 |
45 | 504万円 |
46 | 502万円 |
47 | 515万円 |
48 | 514万円 |
49 | 533万円 |
50 | 557万円 |
51 | 572万円 |
52 | 585万円 |
53 | 596万円 |
54 | 620万円 |
55 | 627万円 |
56 | 633万円 |
57 | 649万円 |
58 | 683万円 |
59 | 731万円 |
60 | 668万円 |
61 | 572万円 |
62 | 596万円 |
63 | 563万円 |
64 | 589万円 |
65 | 534万円 |
ちなみにここ数十年、日本の平均年収はまったく上がっていません。
年収は上がっていないのに、昔と比べて教育費は上昇。教育費の負担は昔よりも上がっています。
今の年収で子供を大学に行かせられる?

日本人の平均年収が分かったところで、今の年収で子供を大学に行かせることができるのか見ていきましょう。
大学入学時までに、貯蓄が必要
下記のグラフは、子供が幼稚園に入園し(35歳)、大学を卒業するまで(53歳)までの平均年収と教育費を重ね合わせたものです。
▼年齢別平均年収と必要な教育費

このグラフから分かることは、次のとおり。
- 子供を私立に行かせるには、世帯年収 1,000万円程度必要
- 子供が大学に進学するまでに、資金を貯めないといけない
中学、高校の時点でも一定の教育費がかかりますが、子供を大学進学させるには、それに加えて大学進学のための計画的な貯蓄が必要になります。
学費で貯金がなくなった場合の、取りうる手段
ヨーロッパと違い、日本やアメリカは教育費に対する公的負担がほとんどありません。
日本やアメリカでは、大学の学費をローンでまかない、大学卒業後も大学の教育ローン返済で苦しんでいる人が少なくありません。
学費を払うだけの貯蓄がないと、次のような手段を取らざるを得ない状況になります。
- 退学
- 教育ローンを組む
- 子供が必死にバイトで稼ぐ
上記のどれも避けたいところです。
40代のうちに年収あげないと、大学の学費は払えなくなるかも

50代後半で年収が上がっても、意味がない
子供が大学に進学する時までに、何とか十分な貯蓄をしておきたいところですよね。
子供が大学に入学するのは、親が50歳になったころです。
つまり親が50歳になる前に、貯蓄をしておかないといけないということです。

子供は確実に成長していきます。50代後半で年収が上がっても、意味がありません。
ローンに頼らずに子供を大学に行かせるためには、40代のうちにある程度稼いでおく必要があるのです。
アメリカでは40代で年収がピークに達し、教育費の負担がやや少ない
そうはいっても日本は見事なまでの「年功序列」。
50代と比べると、貯蓄が必要な30代~40代の年収は低いままです。
一方、アメリカの年齢別平均年収を見てみると、40代でピークの年収に到達します。
アメリカでも教育ローンを組んで大学に進学する人は多いものの、親の年収は40代である程度まで到達しているので、日本に比べたら、教育費の負担は少ないかもしれません。
▼アメリカと日本の年齢別平均年収グラフ

40代で年収を上げるには

子供を大学進学させたいなら、とにかく世帯年収を上げて、貯蓄することです。
夫か妻のどちらかが働くであろうと、夫婦で働くであろうと、とにかく年収を上げる方法を考えてみましょう。
今の会社で昇進する
一番難しいのが「今の会社で昇進し、年収アップを狙う」ことです。
会社の中で年収のレンジがある程度決まっていますし、昇進も簡単ではありません。
今の会社がよほど革新的な事業をやろうとしていなければ(そしてその事業が成功しなければ)、年収の大幅アップは期待できないでしょう。
今までの経験が活かせる日系企業を探す
一番現実的なのは、今までの経験が活かせる日系企業への転職です。
同業他社であれば、転職は簡単です。どこの企業も即戦力で活躍してくれる人材を一番求めています。
ただ、注意点は2つ。
- 年功序列制だと、転職しても年齢次第では給料が低い
- 同じ仕事だと学び直し不要だが、スキルの向上がなく長期的に立場が危うくなる
年功序列の企業だと、給料が低い可能性がある
日本企業は、いまだに年功序列のシステムで動いているところが多いです。
年功序列だと、いくら仕事で成果をあげても年収に反映されません。
転職するときは最初の年収が非常に重要です。
推定年収額を必ず確認して応募するようにしましょう。
リスキリング(学び直し)をしないと、立場が危うくなる場合も
同業他社への転職は簡単ですが、同じ仕事を別の会社でやる場合、新しいことを学ばなくても当面仕事は回るので、人によっては「学ばない人」に陥りがちです。
政府もリスキリング(学びなおし)の重要性を積極的にアピールしていますが、既存の知識に甘んじて自己成長しないと、会社で存在感を失い、立場が危うくなるので気をつけてください。
私は安易に同業他社に転職して、転職に失敗しました。

今までの経験が活かせる外資系企業を探す
一番効果が高いのが、外資系企業に転職することです。
大幅に年収を上げるなら、若い人ほど外資系をおすすめします。なぜなら、外資系は年功序列ではないので、成果に応じて年収が決まるからです。
アメリカの平均年収を見ても分かる通り、成果に応じて年収が決まるなら、体力・経験年数を総合的に判断して 30代~40代が一番多くの年収が貰えるはずなのです。

ただ、日本企業と外資系企業ではカルチャーが異なるため、馴染めない人もいます。
外資系企業で働く人のほとんどは日本企業からの転職組ですが、外資に向いているか気になる方は下記の記事を参考にしてみてください。
外資系企業でも、英語力不問の求人もあります。

おわりに:子供の学費は40代でしっかり貯蓄を
この記事では、今の年収で子供を大学まで進学させることができるか解説しました。
すべて公立の学校を選んだとしても、大学進学のための教育費は家計を圧迫します。
子供が大学に進学するのは、親が50歳のころ。つまり、40代のうちに大学の学費を貯蓄しておかねばなりません。
子供にローンを組ませずに済むようにするには、40代でとにかく貯蓄しておくことです。
もし今の年収で大学の学費を貯められそうにないと感じたら、転職して年収を上げることも検討してみてください。
一番効果が高いのは、年収が高い外資系企業に転職することです。ただ、向き不向きもありますから、日本企業と併せて検討してみてください。