「クルマといえば日本」という時代は終わり、いまや電気自動車の時代に向かっていますね。
電気自動車で市場シェア第一位のメーカーをご存じでしょうか?
第一位は中国の『BYD』という会社です*。
この記事では、
- BYD って何て読むの?
- BYD とは、どんな会社?
- 中国の EV(電気自動車)メーカーは他にもあるの?
といった疑問に答えます。
中国にはBYD 以外にも、急成長中の電気自動車メーカーがいくつもあります。

時価総額で日産を上回る中国企業は、4社もありますよ。
ただ、中国のEVメーカーと言われても、いまいちピンときませんよね…。
というわけで、この記事では BYD 以外の注目すべき中国のEV企業もあわせて紹介します。
かなりマニアックなテーマではありますが、中国のEV市場に興味がある方の参考になれば幸いです。
*参考:counterpoint “Global Electric Vehicle Market Share, Q2 2021 – Q3 2022“
BYD(比亚迪)は、中国語でどう読むの?


まずは、BYD の読み方を紹介しましょう。
BYD(比亚迪)の読み方
BYDは、中国語で「比亚迪」と書きます。
会社名(英語) | BYD |
会社名(中国語) | 比亚迪 |
読み方(ピンイン) | Bǐyǎdí |
「比亚迪」の中国語発音は、「ビーヤーディー」です。
「汽车」は、クルマのこと
ちなみに、この記事では「汽车」という言葉が出てきますが、中国語で「汽车」とはクルマのこと。



日本語の「汽車」と同じ意味ではありませんよ~。
EV (電動自動車) を中国語で言うと


中国でも、電気自動車のことを「EV」と呼びますが、次のような表現がよく使われています。
- 电动汽车(電動自動車)
- 新能源汽车(新エネルギー自動車)
BYD とは、どんな意味?



「BYD」とは、何の略?
BYDとは、会社のスローガン「Build-Your-Dreams」の頭文字をとったものです。
「Build-Your-Dreams」、日本語に訳すと「夢をかなえる」(中国語だと「成就梦想」)。
漢字の「比亚迪(ビーヤーディー)」は、B、Y、Dのアルファベットの発音に漢字を当てたものです。



「迪」の字は、ディズニーランド(迪士尼乐园)の「迪」の字と同じだね。


BYD日本法人の本社は、横浜
BYDの日本法人は、横浜に本社があります。
詳細は公式サイトをどうぞ。
公式サイト:https://byd.co.jp/


BYD って、そんなにスゴイ会社なの?【EV市場シェアNo.1です】



「BYD」は、そんなにスゴイ会社なの?
はい、BYD は世界的に見るとスゴイ企業です。
自動車業界でのBYDの時価総額は、トヨタに次いで第3位


あまり知られていませんが、自動車業界内で見ると、時価総額はトヨタに次いで第3位です。
時価総額ランキング(自動車業界)
第1位 | テスラ(アメリカ) |
第2位 | トヨタ(日本) |
第3位 | BYD(中国) |



確かに、スゴイかも。
市場シェアは、テスラを上回る
電気自動車というと「テスラ」ばかりが注目されがちですが、世界の市場シェアで見ると BYDはテスラを上回っています (2022年Q3時点)。


*参考:counterpoint “Global Electric Vehicle Market Share, Q2 2021 – Q3 2022“
日本と中国の自動車メーカーを時価総額で並べてみると


時価総額で見ると、トヨタに次いで3位のBYD。
日本の自動車メーカー「ホンダ」は時価総額12位ですから、BYDの時価総額はホンダよりも上位です。
下記のランキングを見て分かるように、BYD 以外にも時価総額の上位にランクインしている中国の自動車メーカーはたくさんあります。
時価総額ランキング(自動車業界)
時価総額順位 | 企業名 | 国名 |
---|---|---|
1 | Tesla(中国語で書くと「特斯拉」) | アメリカ |
2 | トヨタ(中国語で書くと「丰田」) | 日本 |
3 | BYD | 中国 |
… | ||
12 | ホンダ(中国語で書いても「本田」) | 日本 |
13 | Great Wall Motors (长城汽车) | 中国 |
16 | SAIC Motor (上海汽车) | 中国 |
17 | Li Auto (理想汽车) | 中国 |
19 | NIO (蔚来) | 中国 |
23 | スズキ | 日本 |
24 | Geely (吉利汽车) | 中国 |
29 | 日産自動車 | 日本 |
35 | XPeng (小鹏汽车) | 中国 |
日産は29位。「やっちゃえ日産」というCMがありましたが、もっとやっちゃってほしいところ。
かつては自動車大国と言われた日本ですが、時価総額ランキングを見ると、その時代は変わったのかな…と感じます。



自動車業界の中心は、T型フォードのアメリカの時代、1990年代の日本の時代、そして次は中国に向かうのでしょうか…?
BYD以外の中国の主要EV(電気自動車)メーカー


時価総額で日産を上回る中国の自動車メーカーがいくつかあるのを紹介しました。
せっかくなので、どんな会社なのか以下カンタンに紹介します。



社名だけでもチェックを!
Great Wall Motors (长城汽车)
社名に「Great Wall」とついていますが、中国語で「万里の長城」は「长城」。
そんな会社名ですが、設立は1984年。本社は河北省保定市にあります。
(自動車メーカーでの)時価総額は、ホンダについで第13位。
长城汽车で製造されている有名なブランドは、次のとおり。



ブランド名を見ても、「なんのこっちゃ」って感じだな…。
- 哈弗 (Haval):SUV をメインにラインナップ。长城汽车でもっとも有名なシリーズ。
- 魏牌 (WEY):創業者の苗字にちなんでつけられたブランド名。燃料自動車からハイエンドのスマート新エネルギー自動車に切り替えて、製造販売している。
- 欧拉 (ORA):ORA は、長城汽車傘下の独立したEV車ブランド。女性向けの自動車をコンセプトにしており、かわいらしいデザイン(フォルクスワーゲンのビートルみたいなデザイン。)
- 坦克 (TANK):長城汽車がSUVの新潮流に向けて立ち上げたトレンディなオフロードSUVブランド。トヨタのランドクルーザーみたいな、ゴツゴツしい感じのデザイン。
- 长城皮卡:SUVのオフロード性能、ステーションワゴンのレジャー性、軽トラックの積載性を融合したデザイン。
デザインが気になる方は、企業HPをどうぞ。
長城汽車公式サイト(中国語):https://www.gwm.com.cn/
SAIC Motor (上海汽车)
SAIC Motor (上海汽車集団)は、1997年に設立された自動車メーカー。
従業員数は20万人。そのうち研究員は2.8万人です。
昔の中国を知る人なら、フォルクスワーゲンとの合弁企業「上汽大众」をご存じかと思います。かつて中国のタクシーと言えば、「上汽大众」のサンタナ一択でした。あの赤いタクシーを懐かしく思うはずです。
「上汽通用五菱汽车」(英語名:SGMW)も有名です。
アメリカのGM(中国語名:通用汽车)、上海汽車、广西汽车(旧五菱集団)の3社合弁企業ですが、Wuling(「五菱」の中国語読み)とも呼ばれています。超低価格のEV車『宏光』を発売して、日本でも注目を浴びました。
2020年、上海汽車は通年で560万台の自動車を販売し、15年連続で中国で首位に立っています。
公式サイト(中国語):https://www.saicmotor.com/chinese/
EV御三家(Li Auto、NIO、XPeng)
中国新興EV御三家と言われるのが、下記の三社。
Li Auto と NIO は、日産の時価総額を上回っています。
- Li Auto (理想汽车)
- NIO (蔚来)
- XPeng (小鹏汽车)
下記の通り3社とも、設立されたのはほんの数年前です。一気に大手EVメーカーに成長したということですね。
設立年
- 2014年設立:NIO (蔚来), XPeng (小鹏汽车)
- 2015 年設立:Li Auto (理想汽車)



中国のスピード感は、すごいです…。
おわりに
この記事では、中国の電気自動車メーカーである『BYD』の読み方や、その他の中国EVメーカーについてざっくり紹介しました。
かつて「自動車大国」と言われた日本ですが、現在の時価総額ランキングを見ると、EV化の流れに乗って、中国の自動車メーカーが台頭してきているのがお分かりいただけるかと思います。
自動車関連のお仕事をされている方は多いと思いますので、ぜひ中国の自動車メーカーの動向にも注目してみてください。