何だか最近、「没落する日本」的な暗いニュースが多いですよね。
こんなマジメに生きているのに、なんでこの国は幸福感が低いんだろうと感じることも。
そんなとき、1冊の本を読みました。
「日本で働いていてしんどい」と感じている方の参考になると思い、今回は記事にしてみました。
共感する部分が多く、この本を読んで私自身も気が楽になりましたので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。
この本を読んで「日本企業の課題」を改めて感じた

今回紹介するのは、野本響子さんの『東南アジア式「まあいっか」でラクに生きる本』です。
マレーシアに10年ほど暮らしている著者の意見に共感しまくりでした。
私自身、日本のニュースを聞いていると「息苦しいな…」と感じることはあり、なんでだろうなぁと思うことも。
そんなときにこの本を読み、本当に「その通り!」だと思いましたね。
著者は外資系企業でも働いていた経験があり、私も外資系企業で働いていたので、なおさら共感してしまうのかもしれません。
「生き方に正解なんてないし、もっとラクに、もと自由に生きてもイイよね」と感じた一冊でした。
日本で働くのがしんどい理由
この本を読んで改めて感じた「日本で働くのがしんどい」理由を、以下挙げてみます。
「お客様は神様」感覚が強い

日本の会社が息苦しい理由のひとつに「お客様は神様」という価値観があげられます。
日本企業では、客に対して最高のサービスを提供することが重要視されています。
そのため、社員はお客様のために全力で働くことが求められます。
また、日本のビジネス文化には礼儀やマナーが重要視され、仕事に対して真摯に向き合う姿勢が求められます。
値段が安くても一流サービスを求める

日本のビジネスにおいては「値段が安くても一流のサービスを提供する」という価値観が根付いています。
日本の消費者は、商品やサービスに対して高い品質を求め、価格に敏感な傾向があります。
そのため、企業は安価であっても最高のサービスを提供することが求められます。
必要以上に高い品質のモノを作ってしまう

日本企業の製品には高品質なものが多いのは事実です。
その背景には、日本の製造業が長年にわたり品質や技術力を追求してきたことがあります。
また、日本企業は「モノづくりの魂」といわれるように、製品に対するこだわりや熱意が強く、必要以上に高品質なものを作ってしまう傾向があるといえます。
そんなわけで、すっかり日本は近隣諸国と比べて『デジタル後進国』となってしまいましたよね。
上下関係がキツイ

日本企業には、上下関係に厳しいという特徴があります。
これは、日本の社会において家族や集団の中での地位や役割が重要視され、会社でもその延長線上にあるといえます。
上司や先輩に対して敬意を払い、命令に従うことが求められます。
最近では若い世代の中には、よりフラットな組織や意見の自由を求める動きが見られます。企業もこれに対応して、意見を言いやすい環境づくりや柔軟な働き方を導入するなど、変革を進めています。
それでも、日本企業には上下関係を重んじる文化が根付いており、そう簡単にこの文化は変わりそうにありません。

必要以上に「謝罪」を求める

日本企業では必要以上に「謝罪」を求める傾向があります。
これは、日本文化において謙虚さや礼儀正しさが重んじられ、自分たちの過ちを素直に認めることが求められるためです。
また、企業としても、社会的責任や信頼回復のために謝罪をすることが重要視されます。
しかしながら、過剰な謝罪は信頼を損ない、かえって問題を引き起こすことも。
最近では、企業もそのことを認識し、必要な謝罪と過剰な謝罪の区別を明確にする取り組みを進めています。
ルールが多すぎる

日本企業にはルールが多すぎるという特徴があります。
これは、品質管理や安全管理などに対する徹底的な取り組みが求められるためです。
また、日本の文化においても、細かなルールに従うことが重要視されています。
最近では働き方改革の一環として、柔軟な働き方や自己裁量の導入など、より自由な環境づくりが進められているとはいえ、社員を信用していないからかルールをたくさん作り、社員も自分で考えるのが面倒だからか、ルールに従順です。
周りの空気を読みすぎる

日本社会には、よく知られている通り「周りの空気を気にし過ぎる」傾向があります。
これは、日本社会の集団主義的な文化に根ざしたものであり、個人よりも集団の優位性が重んじられることが原因と考えられます。特に、職場においては、上司や先輩の意見に従うことが当たり前とされています。
異なる意見や行動をとることに対して、周りの目が気になり、自分自身が浮いた存在になることを恐れる傾向があることも事実です。
「いい大学に入り、いい会社に入るのが成功」というマインドに縛られている

日本社会の特徴として、「いい大学に入り、いい会社に入る」ことが今も成功の条件とされる傾向があります。
しかし、現代のビジネス環境は、過去の成功体験だけでは対応できない複雑なものになっています。
さらに、多様性や個性を重視する社会においては、単純な「出身」や「経歴」だけで人材を評価することは難しくなっています。
自分自身の強みや個性を発揮し、多様な経験を積むことが求められ、組織も多様な人材を受け入れ、それぞれの強みを最大限に活かすことが必要な時代です。
しかし、東アジア(日本、韓国、中国)ではいまだに「良い大学に入り、良い会社に入る」のが成功だとされており、それが多くの人の生きづらさを生んでいるのは否めません。
日本人だって、海外の大学なんてほとんど知らないですよね。それと同じです。
こんな社会になったらいいな、と思うこと
この本を読みながら、「こんな社会になったらいいな」と思ったことも、いくつか挙げてみます。
「お値段以上」のサービスを求めない

日本社会において、消費者が商品の価格以上のサービスを求める傾向があります。
しかし、このような価格以上の要求は、企業やサービス業にとって重荷となり、結果的に消費者自身にも損害を与えることになります。
海外に行くと、店員がそっけないと感じることもありますが、日本のサービスが過剰ともいえます。
ビジネスとは、払った金額だけサービスを受け取る「物々交換」が原則はないでしょうか。
消費者は、必要以上にサービスを求めることなく、商品やサービスの価格相応のものを受け取ることが、健全な社会を作り上げる上で重要なことです。
過剰品質からの脱却

日本企業は品質にこだわることで世界中に高い評価を得ていますが、過剰品質は時に逆効果になることがあります。
製品開発に多くの時間を費やし、過剰な品質にこだわることで、スピード感が低下し、顧客からの要望に応えることができなくなってしまうことがあります。
企業は適切な品質を追求することで、スピード感を保ち、市場に迅速に対応することが重要です。
こうした改善が進むことで、日本企業の競争力が向上することが期待されます。
「ナイスな仕事ぶり」を気軽に賞賛する

日本企業と比べると、外資系企業では、会社にもよるかもしれませんが、積極的に「社員の良いパフォーマンス」を賞賛する文化が根付いています。
世界中で働く社員に向けて、「〇〇さんの素晴らしいパフォーマンスが、△△プロジェクトを成功に導いた」といったコメントが、頻繁に飛び交います。
社員のミスを叱咤するのではなく、積極的に社員のパフォーマンスを褒めたたえることは、社員のモチベーションや生産性に大きな影響を与えます。
日本企業も、社員の良いパフォーマンスを積極的に評価する文化を取り入れることで、モチベーションや生産性の向上につながるかもしれません。
謝罪ではなく、改善プランを

日本人って「誠意を見せろ」というのが好きですよね。
確かに謝罪は重要ですが、何度も謝罪を繰り返すだけでは問題の解決にはつながりません。
むしろ、改善プランを立て、実行することが大切です。
問題解決のためには、問題が発生した原因を分析し、適切な改善策を立て、それを実行することが必要です。
理不尽な客とは関わらない

顧客満足度は大切ですが、理不尽な要求に応じることは企業にとって損失になることもあります。
顧客には敬意を払い、対等な関係を築くことが大切です。
企業は、品質の向上やサービスの改善など、顧客との良好な関係を維持するために最善を尽くすべきですが、理不尽な要求には柔軟に対応することが求められます。
日本企業は時として、理不尽な要求をする「クレーマー」となっている場合もあり、海外では敬遠されているケースも。
(今回紹介した本『「まあいっか」で楽に生きる』でも類似の事例が紹介されていました。)
私も外資系企業にいたとき、あまりにも理不尽な要求を繰り返す企業に対し、「断ってよい」と会社から指示を受け、取引を打ち切ったことがあります。
息苦しい環境を変えるために
そんな息苦しさを感じるなら、環境を変えていきましょう。
文化はそう簡単には変わりません。
社会が変わるのを期待するより、自分にとって居心地のいい社会に移る方が早いです。
思い切って、海外で働く

息苦しさを感じる人には、海外で働くことも1つの選択肢です。
海外では自由な働き方や、多様な文化に触れることができますし、自己成長やスキルアップの機会も豊富です。
具体的にどんな仕事があるのか探してみるなら、daijob.com の「Working Abroad」や「マイナビ転職 グローバル」をチェックしてみるとよいでしょう。
海外駐在を狙う

わざわざ転職しなくても、今の会社で海外駐在員として働いてみるのもいいかもしれません。
多様性のある職場で働くことで、コミュニケーション能力や問題解決能力が向上することも期待できますし、グローバルなビジネスの経験は、キャリアアップにも繋がります。
海外駐在を希望する場合は英語力を求められる場合がありますので、Bizmates などのオンライン英会話サービスを利用して、英語の準備をしておきましょう。
外資系企業で働く

海外で暮らすのは抵抗がある場合、日本にオフィスを構える外資系企業で働くのも一つの方法です。
日本にいながら、海外のカルチャーで働くことができます。
外資系企業で働く場合も、英語力が求められることがあるので、英語学習はやっておきましょう。
日本にある外資系企業を探すなら、エンワールド など外資系の転職に強いエージェントを利用してみるのがおすすめです。
外資系企業は日本国内では知名度が低く、優良企業でもあまり知られていないので、エージェントを利用する方が幅広く求人を探すことができます。
社員からの評判が良い企業へ移る

絶対に日本企業で働きたいという方は、転職先を探す際に、企業の口コミサービスを確認して、社員の評判が良い会社を選ぶようにしましょう。
企業の口コミサービスとして有名なのは、転職会議と OpenWork です。
試しにあなたの会社の口コミをチェックしてみましょう。
もし、あなたが抱えているのと同じような不満が投稿されていたら、転職を本格的に検討してみてもいいかもしれません。
おわりに
この記事では、『「まあいっか」で楽に生きる本』を読んで感じた、日本企業の課題と、息苦しい働き方から逃れる方法を紹介しました。
「この国の文化はイヤだな」と思っても、文化というものはそう簡単には変わりません。
今の日本社会に息苦しさを感じるなら、いっそのこと海外で暮らしてみてもいいかもしれません。
海外生活を検討するなら、今回紹介したような、実際に海外で暮らしている日本人の書かれた本が非常に参考になると思います。
いろいろしんどいこともあるとは思いますが、お互い「まあいっか」の気持ちで、もうちょいラクに生きていきましょう。