中国語が公用語の国とその特徴|中国語を学ぶ前に知っておきたいこと

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中国語は世界で最も話されている言語の一つです。

中国語は中国以外でも公用語として使われており、中国語を学ぶことは今後ますます重要になっていくでしょう。

ただ、中国語が公用語といっても、国によっては「発音」が違ったり使われている「漢字」が異なるのは、中国語初心者の方にはあまり知られていないかもしれません。

そこで今回は、中国語が公用語として使われている国と、その国で使われている中国語の特徴について紹介します。

これから中国語を学ぶ方は、勉強を始める前にぜひ理解しておきましょう。

目次

中国語の漢字には、2種類ある

中国語の漢字には、2種類の書体があります。簡体字と繁体字です。

この2つの書体にはそれぞれ歴史的な背景があります。ここでは、中国語の簡体字と繁体字について紹介していきます。

簡体字

簡体字は、1950年代に中国で導入された文字改革によって生まれた文字体系です。

当時、中国は文字が繁雑すぎるという問題を抱えており、文字を簡素化する必要があったため、簡体字が生まれました。

簡体字は、字体がシンプルで読みやすく、中国国内で広く使われています。また、簡体字は、シンプルな構造という特徴から、携帯電話やコンピューターなどのデジタル技術に適しているため、現代中国での普及が進んでいます。

繁体字

一方、繁体字は、古代中国で使われていた文字体系であり、香港、台湾、マカオなどの地域で広く使われています。

また、日本や韓国などの周辺国でも繁体字を使用する場合があります。

繁体字は、字体が複雑で、読みにくいという欠点がありますが、中国の伝統文化や芸術作品、古典文学などにおいては、繁体字がより美しいとされ、尊重されています。

中国の7大方言【漢字が同じでも、発音が違う】

中国は、多民族、多言語、多方言国家であり、56の民族がいます。学説によれば、80以上の言語があり、30種類ほどの文字があるそうです。

(参考:中国语言文字概况 (2021年版)  中华人民共和国教育部 [2019-12-29])

いわゆる『普通话(北京語)』と呼ばれるものが、中国語の標準的な発音とされています。また、『北方方言』が基本的な方言となっています。

中国語の方言は、大きく分けると以下の7つに分類されます。最も多く話されているのは『北方方言(北方官話)』です。

方言名話される地域
北方方言(北方官話)北京市、天津市、河北省、山西省、内蒙古自治区、遼寧省、吉林省、黑龍江省
吴方言江蘇省、上海市、浙江省、安徽省北部
湘方言湖南省、湖北省西部
赣方言江西省、福建省南部、広東省北部
客家方言広東省東北部、福建省西北部、江西省南部、湖南省南部
闽方言福建省中南部、台湾
粤方言広東省、香港特別行政区、澳門(マカオ)特別行政区、海南省東部
参考:河南师范大学 我国汉语七大方言区

広東語とは?

広東語は、中国語の方言の一つであり、主に中国南部の広東省を中心に広く話されています。

広東語は、粤方言に属し、中国国内だけでなく、香港やマカオ、海外華僑社会でも広く話されています。

広東語は、中国語で最も多くの音を持つ方言の一つで、発音が難しいことで知られています。

標準語とは全く発音が異なり、別の言語と言ってもいいほどです。『普通語』を話す中国人でも、広東語を聞き取れない人がほとんどです。

19世紀、広東省から多くの移民が出て、海外に広がったことで、広東語が世界中で話されるようになりました。また、広東語は、香港映画などのメディアによっても広く知られ、人気を博しています。

(以前、岡村隆史主演の映画で「無問題(モウマンタイ)」というのがありましたが、「モウマンタイ」は広東語です。)

中国語が公用語の国一覧

中国語が公用語として使われている国を紹介します。

中華人民共和国(中国)

国名使われている漢字使用されている中国語
中華人民共和国簡体字北京語(標準中国語)

中華人民共和国では、公式文書やメディアなどで簡体字が使われています。

また、公用語としては北京語(標準中国語)が用いられており、全国的に理解されている言語となっています。

中華民国(台湾)

国名使われている漢字使用されている中国語
台湾繁体字台湾華語(繁体字中国語)

台湾で使われている漢字は繁体字であり、簡体字とは異なる書き方をしています。

また、公用語として用いられている中国語は台湾華語(繁体字中国語)であり、北京語とは異なります。

台湾華語は繁体字を使った中国語であり、中国本土で使われている標準中国語(北京語)とは一部の発音や表現に違いがあります。

ただし、標準中国語は台湾で十分通じますし、生活することも可能です。

香港特別行政区(中華人民共和国の一部)

国名使われている漢字使用されている中国語
香港特別行政区(中華人民共和国の一部)繁体字広東語、北京語(標準中国語)、英語

香港では、広東語が最も一般的に使われています。使われている漢字は、繁体字です。

また、香港は長年にわたりイギリスの支配下にあり、英語の影響も強かったため、英語も一般的に使用されています。

さらに、普通話(中国語)も公用語として使用されています。

マカオ特別行政区(中華人民共和国の一部)

国名使われている漢字使用されている中国語
マカオ特別行政区(中華人民共和国の一部)繁体字広東語、ポルトガル語

マカオ特別行政区では公用語として広東語が用いられています。使われている漢字は、繁体字です。

マカオは、中国語(簡体字)では「澳门」、繁体字では「澳門」と書きます。

マカオはポルトガルの植民地であった歴史を持つため、ポルトガル語も広く使われており、公式文書や看板、広告などにも多く用いられています。

さらに、マカオは多くの外国人旅行者が訪れるため、英語も一部で使用されます。

シンガポール共和国

国名使われている漢字使用されている中国語
シンガポール簡体字標準中国語(北京語)

シンガポールは、公用語として英語、中国語、マレー語、タミール語を採用しています。

中国語については簡体字が用いられます。ただし、官庁や学校などでの漢字表記は繁体字も用いられています。

シンガポールは多民族国家であり、外務省のデータによれば、民族構成は中華系76%、マレー系15%、インド系7.5%(2019年6月)。

また、中国語に関しては、シンガポール国内で話される広東語や客家語などの方言も広く使われています。しかし、公式文書や学校での授業などでは、標準中国語である北京語が用いられています。

公用語ではないが、中国語が使われている国

中国語が公用語ではないものの、中国語が使われている国もあります。

マレーシア

国名使われている漢字使用されている中国語
マレーシア簡体字が多い普通話、広東語、客家語、福建語、閩南語など

マレーシアで使われている言語は、公用語のマレー語(マレーシア語)の他、英語、中国語、タミル語などが一般的に使用されています。

マレー語はマレーシアの国語であり、政府や公的な場で使用されていますが、ビジネスや日常生活では、英語や中国語がよく使われています。

また、マレーシアは多民族国家であるため、それぞれの民族が使用する言語も広く使われています。

外務省のデータによれば、マレーシアの民族構成は、マレー系約70%(先住民15%を含む)、中華系約23%、インド系約7%(2022年マレーシア統計局)となっています。

マレーシアでは、以前は繁体字が使用されていましたが、現在は簡体字が多く使われています。

中国語を習うときの注意点【初心者必見!】

以上、中国語には2種類の漢字があること(簡体字、繁体字)、中国語といっても方言がたくさんあり、広東語のようにもはや「別の言語」と言っていいほど、発音が異なることを紹介しました。

正直、国によってさまざまなので、ややこしいですよね。

これから中国語を学ぼうとしている方は、次の2点に気をつけてください。

どの国の中国語を学ぶかを決める

まずは、どの国の中国語を学びたいかを決めましょう。

中国大陸で使われている中国語を学ぶなら『普通語(北京語)』台湾で使われている中国語を学ぶなら『台湾華語』を選んでみてください。

『普通語(北京語)』の語学テキストは簡体字が使われており、『台湾華語』のテキストは繁体字が使われています。

テキストを購入するときは、『普通語(北京語)』か『台湾華語』か、よく確認してから購入するようにしてください。

NHK中国語講座は『普通語(北京語)』を学ぶ講座で、簡体字が使用されています。

『普通語(北京語)』が学べるおすすめの初心者向けのオンラインレッスンは、下記の記事で紹介しています。

地域によって、発音になまりがある

中国語をネイティブの先生に習う場合、先生の出身地も確認しておきましょう。

日本でも各地に方言(なまり)があるように、中国にも各地に方言(なまり)があります。

プロの中国語の先生であれば、標準的な中国語で話してくれるはずですから、そんなに心配することはありません。

ただ、プロの中国語の先生ではなく、知り合いの中国人から教わるときは、地域によって発音になまりがあることは意識しておいた方がよいでしょう。

中国語のスクールでは、講師のプロフィール欄に出身地が書いてあります。講師を選ぶ際の参考にしてください。

おわりに

この記事では、中国語が公用語の国を紹介しました。

中国語は、いまやビジネスで活躍するための重要なスキルの一つです。また、中国語を学ぶことで、言語を学ぶだけでなく、今回紹介した国の文化や歴史も学ぶことができます。

ぜひ、中国語を学んで、新たな可能性を広げていきましょう。


中国語を本格的に勉強してみたい人は、下記の記事も参考にどうぞ。

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